-奇跡の再会-


ねえ・・・ママ・・・」

「なあに?・・・」

「ママは花嫁さんになったの?」

「えっ?」

突然の問いかけに驚くマミヤ。

「レオ・・・パパとママが一緒にいられたのは、
 ほんの少しの間だったの・・・。
 ママ、お嫁さんになりたかったけど・・・
 パパは天国へ行っちゃったから・・・」

「ボク・・・ママの花嫁さんが見たい!」

「レオ・・・」

戸惑うマミヤ。

「せっかくパパからプレゼントが届いたんだよ!
 パパに見せてあげようよ!」

レオは部屋の奥から父の形見の肩当を取り出した。

「ボクがパパの役をやるから・・・ねえ、いいでしょ?」

「レオがパパに?」

レオの名案にマミヤも思わず微笑む。

「そうね・・・。
 パパに見せてあげないとね・・・。
 それから・・・レオのパパ役も。」

「やったぁ~!じゃあ、アイリも呼んで、
 今度の日曜日、教会でパパとママの結婚式をしよう!!」


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その晩、マミヤは一人レイの墓前に来ていた。

「ねえ、レイ・・・
 今度の日曜、あなたと私の結婚式をする事になったのよ。
 レオがね・・・
 天国のパパに、ママのお嫁さん姿を見せてあげるんだって言って・・。
 あの子、パパの役をやるって、はりきってるわ。
 言い出したら聞かない所は誰かさんにそっくり。
 ちょっと心配だけど、見ていてあげてね・・・。


 でも・・・

 もし叶うのなら・・・

 私・・・

 私はあなたに もう一度会いたい・・・

 レイ・・・  あなたに会いたい・・・」




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そして、晴れの日・・・。
マミヤは亡き母から譲り受けたウエディングドレスを身に纏っていた。

「一生着る事はないと思っていたのに・・・・」

「マミヤさん・・・とっても綺麗・・・
 兄さんが生きていたらなんて言うかしら・・・。」

アイリが、純白のケープをそっとマミヤに掛ける。

「きっとパパはこう言うよ!・・・
 マミヤ、きれいだよ!」

レオが亡き父になりきって答える。
得意げに口の端を吊り上げたその顔はレイにそっくりだ。

「まったく、もう、この子ったら!」

マミヤとアイリが顔を見合わせて微笑む。

「さあ、行きましょう。
 レオ・・、いえ、花婿様・・・!
 花嫁さんを宜しく頼むわね。」

アイリがレオの肩をポンとたたく。

「まかしておいて!!」

父の形見の肩当を腕に抱えると、レオは母の手を握りしめた。


ヴァージンロードをゆっくりと歩く母と子。
レオのぎこちない歩き方が何とも愛らしい・・・。

祭壇の前に辿り着くと、窓から眩い光が差し込んでくる。
やがてその光は美しい曲線を描き、優しくマミヤを包み込んだ。

風になびく蒼色の髪 深紅の瞳 優しい眼差し・・・
紛れもないレイの姿がそこにあった。


「!!!・・・レイ・・・」

驚きのあまり声にならないマミヤ。

「これは、夢・・・?
 お願い・・・ 夢なら覚めないで・・・」

心の中で叫ぶ。
長い間心に秘めていた思いが、一気にあふれ、胸が張り裂けそうになる。

「マミヤ・・・ 約束しただろう・・・」

レイが優しく微笑む。

「レイ・・・ 本当にレイなのね・・・」

大きな瞳から涙が溢れ出す。

「マミヤ・・・ そんなに泣いたら、美人が台無しだ・・・」

頬を伝う涙はまるで宝石のようにキラキラと輝く。

「綺麗だよ・・・ マミヤ・・・」

レイは涙でぬれたマミヤの頬に優しくキスをした。


優しい眼差しで二人を見守る神父・・・そっと二人の手を取る。

「お二人の愛が奇跡を起こしたのです・・・さあ、式を始めましょう」

厳かな式が始まり、二人は誓いの口づけをかわした・・・。

「マミヤ・・・ 愛している・・・」

「レイ・・・ 
 私、 あなたが このケープの事を覚えていてくれたなんて
 思ってもいなかった・・・。
 ありがとう・・・
 私、嬉しくて・・・。」

レイをしっかりと抱きしめる。

「お願い・・・レイ・・・
 ずっとこのままでいて・・・」

「俺はいつもお前のそばにいる。
 ずっとそばにいるから・・・」

「・・・愛してる・・・」

二人はもう一度口づけをかわした。




「おめでとう!!パパ!ママ!」

無邪気に駈け寄るレオ。

「レイ・・・
 あなたの子よ・・・私たちの宝物・・・」

レイは我が子をそっと抱き上げた。

「レオ・・・
 俺たちの大切な宝物・・・
 このままずっと一緒にいられたら・・・」

小さな手を握りしめ、レイは初めて涙を流した。

「パパの手、あったかい。
 やっぱりパパはボクが思ったとおりのパパだ!
 優しいし、カッコいい!」

レオが嬉しそうに微笑む。

「レオ・・・
 お前は強い子だ。だから、パパと約束してくれ。
 ママを・・ ママをずっと守るって・・・」

「うん!!わっかた!!
 ボク、約束する!ママを守るよ!」

「よし!男の約束だぞ!
 パパはお前をずっと見守っているからな・・・」

「うん!パパ! 男の約束だね!」

レイは我が子をもう一度強く抱きしめた。



このまま時間が止まってしまえばいい・・・。
そんな願いも虚しく、別れは刻々と近づいていた。

「マミヤ・・・
 俺はお前に何をしてあげられたのだろうか・・・」

「レイ・・・私はとても幸せよ・・・
 あなたに出会えて、人を愛する事、
 愛される事の喜びを知ることができた・・・
 そして何よりも大切な宝物、レオを私に残してくれた・・・
 それだけで十分・・・。」

「マミヤ・・・ ありがとう・・・」

レイはマミヤを抱きしめた。

「あたたかい・・・
 懐かしいこのぬくもり・・・
 お願い・・・レイ・・・ 消えないで・・・」

マミヤはレイのぬくもりがだんだん消えて行くのを感じていた。

「マミヤ・・・愛してる・・・
 俺は・・ ずっと、お前たちを見守っているから・・・
 ずっと・・・」

レイの手を強く握りしめるマミヤ。
繋がれた指がだんだん冷たくなってゆく。

「ああ・・・レイ・・・」

やがて、レイの姿は、眩い光となり、
星の輝く夜空へと消えていった・・・。





****************************************

「ママ・・・
 パパは、ボクとママの心の中で、
 ずっと、ずっと、生きてるんだよね!
 ボク・・・ パパのこと、絶対忘れないよ!
 それと・・・パパとの約束・・・
 ボクがママを守るから!」

「レオ・・・」

「ほら、もう泣かないで・・・笑って・・・ママ・・・」

レオの笑顔が月の明かりに照らされ、
レイの優しい面影と重なり合った。                      




 レイ・・・ありがとう・・・・
 そして  これからもずっと私達を見守っていて・・・
 あなたを愛してる・・・  永遠に・・・。

 




ENDLESS LOVE 
~天国からの贈り物~ 
  - END -

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★あとがき★
レイはマミヤに「純白のケープをプレゼントしよう」と 言っていましたが、
実際はどうだったのかが気になり、妄想モード全開で書いた処女作です(汗)
レイの忘れ形見の名は“レ”のつく名前にしたかったので「レオ」に。
(某球団のマスコットと同じなのはナイショ!)
南斗六聖拳の中で、唯一部下をもたず、“様”付けされていないレイの為に
冒頭に レイの部下を登場させてみました。(笑)

今回、尊敬するぴんたんさんのご好意で、
この話を書くきっかにもなった マミヤの美麗イラストを使わせていただきました。
(ありがとうございます!!!)

文章を書くのは初めてだったので、表現がおかしい所ばかりだと思いますが、
最後まで読んで下さって有難うございました!!





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