刻印 レイver





背中の刻印、

それが

お前が戦い続ける理由

いつか見た



一滴の涙

小さな叫び

時折浮かぶ

愁いを帯びた顔

全ての原因










肩の疵を見られまいと

必死で隠し

顔を伏せる



「みつめないで…」



見ないで


みないで


ミナイデ


コンナ穢レタ女ナド‥


お前の叫ぶ声が聞こえる



マミヤ



どれだけ言葉を尽くしても

お前に届かないのか



強く、

優しく

直向きな

お前は誰よりも

清らかで

美しいのだと






…り


砂音が


ざ……り


……ざくり


聞こえてくる



血に塗れ

傷ついた

身体を引き摺る

お前の背中

もどかしかった

みつめるだけで

差し伸べても すり抜け

助ける事が出来ないのを


現実のお前は

支えながらも

夢と同じように

幻と消えそうで


どうすればいいのか



――全てを懸けて護ってやるといい――



いつかの友の言葉

そうだ

お前が

どう感じようと

どう批難しようとも

あの時の誓いを果たそう

俺が出来る事はそれだけなのだから

勝手に決めた

たった一人への誓いだ

お前は

気に病むことなど無い

お前の愁いを断ち切り

その顔に差す蔭りに

幸福の灯りが

燈ればいい

刻印(きず)を隠す

彼女の手の上に

静かに己の手を添え

そっと包み

騎士のように

お前に誓おう



そして



ざくり…!



砂音が強く



震え



響いた






おわり






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