To.Mamiya...  From.Toki



幸福な…

彼女の部屋に呼ばれた時

何かと思えば、予想通り

彼の事についてだった

本当にもうどうしようもないのか、と

何か他に手立ては無いのか、と

自分に聞くのはやはり北斗神拳を医療に使おうとしたからなのか

…残念だが自分ではラオウの秘孔を破る事はできない

かつて愛した女性と面差しが似た

その顔を曇らせる事は何よりも心苦しかったが

正直に答えるしかなかった

だがー

ある秘孔を突けば

ほんの少しだけ時間を延ばせるという事を告げた

その代わり

それを行えば

今よりももっと激しいい痛みと苦痛にさいなまれ

その痛みで発狂し

耐え切れるかどうかも難しいという事

それを聞いた彼女は

青褪め

絶望と哀しみに包まれた表情をした


…マミヤさん貴女は自分の気持ちに気付いていないのか?

貴女は彼を仲間として心配しているつもりなのだろうが

彼が貴女の為に残りの命全てをかけ

貴女の幸せを護ろうとしている

例え貴女が彼と同じ運命をたどろうと知ったとしても同じ事をしただろう

確かに貴女に一生消えない傷を負わせたのは

彼と同じ南斗の男かもしれない

だが

あなたを愛する心

それは、北斗も、南斗も、関係ないはず

一人の男としての想いが彼を動かしている

貴女も一人の女として彼と向き合ってみるべきだ



……悲しいが貴方達二人には時間が少なすぎたのかもしれない

もっとお互い分かり合える時間があれば

きっと似合いの夫婦にもなれたかもしれない


今更かもしれないが…


『  !  』

外がざわつき出した

ベランダに回り外を見れば

……もう時間が無いのか

彼の生命の終りの時は刻一刻と迫っている

やはりあれを使うしか…

彼も拳士、このまま朽ち果てるのは悔しいだろう

まして愛する者を護り切れなかったとあれば…

そう考えていると

すっ…

『トキ、これをレイに』

彼女が自分の掌に包む込むように渡す

『メディスンシティーでみつけた薬です』


これは…!

彼女を見れば俯いたまま

医者である自分であれば理解すると判断したのか

目を合わさずそのまま走り去ってゆく…

『マミヤさん…』

あなたは…



『いや、まだ方法はある』



マミヤさん…貴女の彼を想う気持ちは確かに受け取った

彼がこのまま醜く血と肉を飛び散らせ無残な死体になるのも

あの方法を使って狂い死にしてしまうのも

貴女にはどちらも耐えられないだろう

だから安らかな死を与えたいと思ったのだろう

だが、彼の貴女を想う気持ちはどうなる?

私も、男

彼の気持ちは良く解る

かつて人を愛した事もある

その人の為なら命もかけよう



だから―


『選ぶが良い』

私は賭けてみる

誰にも強制はできぬ決めるのはお前しかおらぬのだ!!』

あの方法を使って彼が生き延びる事を

貴女への愛がこの”漢”を強くするという事に!!

だから気付いて欲しい


マミヤさん―



―貴女はこの世の誰よりもこの”漢”に愛されて幸福な女(ひと)だと言うことに―


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