To.Mamiya... From.Juda




『背中の傷はまだ癒えてはいまい』

そう、それは確信

お前がまだ俺のものだという証


消えさせはしない忘れさせはしない

その証があるまでは


俺が唯一何もできず逃がした華

他の女のように

資格がなくなったからと捨てたのではない


最初に見初めたときお前は怯えながらも

俺から目を逸らすことなく気丈に睨み付けていた

その目が気に入った

その奥にある激しい炎が

お前を輝かせていた

美しいと思った

もっとその目を向けて欲しい

このまま従順な人形の様にするのは惜しい

それではお前の輝きを失う


ならば


『俺が憎いか?』

腕の中、腰を引き寄せ密着した体制

それに激しく抵抗するお前に話しかける


ぴくり


涙を流しながら



ぎらりと



俺を見つめる

その瞳が輝きはじめる

俺から身体を引き離すようにしていた掌が



ぎりぎり


ぎりぎりと


腕に爪を立て始めた

血が滲み始めているだろう

本来なら僅かの傷でも許される行為ではないが

お前が与える痛みならば心地よい…



ざわり


と空気が変われば



ゆらりと




髪が燃え盛る炎の様に揺れ




そして唇が動く




『憎い…わ』





美しい…




そうだ

さあもっと憎め


顔を寄せ耳元でそっと囁く

『チャンスをやろう』

愛を囁くように…




そう、戦いの術も与えよう




『受け取れ』



それがお前の牙お前の爪

お前をより美しく磨く


『せいぜい鍛錬に励むがいい簡単に終わってはつまらぬから、な』

受け取った武器を手に怒りに身体をを震わせながら

輝きを増すお前


そう


俺を憎み強くなれ美しくなれ


『失望はさせるな』


ぎりっ…!


悔しさで唇を噛み締めたのか

血が滲んでいた

それを掬い上げ舐めてみる

鉄の錆びた味しかしない筈のそれは

とても甘く感じた…



俺を忘れるな



俺を憎むことで生きろ



そうすれば




マミヤ



お前は永遠に俺のもの




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