砂音




〜砂音2〜

『彼らは一体…』

村の外からきた用心棒二人

その圧倒的な力は瞬く間に

敵を屍に変えていく



一人は寡黙な男ケンシロウ

”北斗神拳”という拳法を使うこの男は

子供を二人連れて旅をしていた

無口な為何を考えてるのか解りにくいが

連れの少女の『あったかいの…』という言葉

子供にそう思わせる何かが彼にはあるのだろう

確かに悪い人間ではなさそうだった


そしてもう一人

レイ

”南斗水鳥拳”を扱うというこの男は

最初は牙一族と組んだ野党くずれかと思い急いで後を追ったが

『気が変わった』

との一言であっさり裏切ったのだ


この男は…危険だ

いつまた裏切るか解らないということもあるが

あの技…南斗



南斗―



瞬間



ざくりざくり



遠くから




聞こえてくる




砂音が





呼吸が荒くなる




涙と血に塗れ

傷ついた身体を引きずり砂漠を渡った日が一瞬蘇える


目の前が真っ暗になる

身体が震える全身に冷たい汗が流れる

崩れ落ちてしまいそうだった

でもそんなことはできない自分は村のリーダーだ

牙一族との戦いも迫っている中そんな暇はない


拳を血が滲むほど強く握り

息を整え、震えを抑える

気を失いそうになる自分を保つ

皮肉にもあの男の下で学んだ事が役立つ

自嘲ぎみな気持ちを切り替え

前向きに考えよう

何が目的でこちらについたのかは知らないが

用心棒として協力してもらえば良いだけの事だ

だが


この男に近づいては駄目だ

気を許してはならない


絶対に―



そして



ざくりざくり



砂音が




また聞こえた 



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